犬と猫を一緒に飼っていると、「同じごはんでいいのでは?」「犬のフードを猫が食べてしまったけど大丈夫?」と気になることはありませんか。
どちらも人と暮らす身近なペットですが、実はおなかのつくりや、必要な栄養のバランスがかなり違います。
この記事で分かることは、次の3つです。
- 犬は「雑食」、猫は「肉食」と言われる理由と、おなかのつくりの違い
- 必要な栄養(特にたんぱく質)の違いと、猫に欠かせない「タウリン」の話
- 食べ方の違いと、犬にも猫にも与えてはいけないもの
主に、環境省が飼い主向けにまとめた「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」をもとにお話しします。
犬は「雑食」、猫は「肉食」。人との暮らし方で違いが生まれた
環境省のガイドラインでは、犬と猫の違いを、ひとことでこう説明しています。
- 犬は雑食:人と長い間一緒に暮らすうちに、雑食性が進んだ
- 猫は肉食:人と暮らし続けていても、肉食の性質を保ち続けた
ここでいう「雑食」は、肉も植物も食べて栄養にできる、という意味です。「何を食べても平気」という意味ではありません。後で詳しくお話ししますが、犬も人よりたんぱく質を多く必要とします。

犬は、デンプンを消化しやすい体に変わってきた
犬は、大昔のオオカミが人と暮らすうちに変わっていった動物だと考えられています。オオカミは肉を中心に食べる動物ですが、犬はそこから少しずつ変わってきました。
2013年に科学誌「ネイチャー」に載った研究では、犬とオオカミの遺伝子を詳しく比べています。その結果、デンプン(ごはんやパン、いもなどに多く含まれる成分)の消化や、脂肪の代謝に関わる遺伝子に、犬らしい変化が見つかりました。オオカミに比べて、犬はデンプンを消化しやすくなっていると報告されています。
研究者たちは、オオカミの肉中心の食事に比べて、デンプンの多い食事でも元気に暮らせるようになったことが、犬が人と暮らし始めた初めのころの大切な一歩だったと考えています。
猫は、肉を消化するのが得意なおなかのまま
一方の猫の祖先は、肉食のヤマネコです。一般社団法人ペットフード協会のテキストによると、猫は人に飼われるようになってからも肉食のままで、おなかのつくりにもそれが表れています。
- 消化管が短い:消化管(食べ物の通り道)の長さは体長の約4倍ほどで、雑食や草食の動物と比べるとかなり短い
- 小腸は発達しているが、大腸はひかえめ:肉に含まれるたんぱく質や脂肪の消化・吸収に向いたつくり
- 盲腸(小腸と大腸のつなぎ目にある、袋のような部分)がほとんど無い:そのため、植物に含まれる食物繊維をうまく利用することはできない
つまり猫のおなかは、植物よりも、肉に含まれるたんぱく質や脂肪を消化・吸収することに向いたつくりだと言えます。
猫は「甘み」を感じない
もうひとつ、おもしろい違いがあります。環境省のガイドラインによると、犬は甘い食べ物が大好きですが、猫は甘みを感じることができません。果物などに含まれる果糖(フルクトース)を分解する酵素も持っていないとされています。
犬が甘いものを欲しがっても、肥満の原因になるので、砂糖や果物の与えすぎには注意が必要です。
必要な栄養のバランスも違う。猫は特にたんぱく質が多く必要
犬も猫も、人と同じように、たんぱく質・脂質・炭水化物・ミネラル・ビタミンなどを食べ物からとる必要があります。違うのは、その割合です。
同じカロリーの食事でも、必要なたんぱく質の量が違う
環境省のガイドラインには、1,000kcal(キロカロリー)の食事に含まれるたんぱく質の推奨量を比べたグラフが載っています。言いかえると、「同じカロリー分の食事をとるなら、その中にどれくらいのたんぱく質が必要か」という比べ方です。

- 人(30〜49歳):男性 23g、女性 25g
- 犬:45g
- 猫:65g
犬は人のおよそ2倍、猫は犬よりさらに多く、およそ1.4倍のたんぱく質が必要という計算になります(犬・猫の数値は、米国飼料検査官協会=AAFCOの基準によるもの)。
同じガイドラインでは、平均的な食事に含まれる栄養の割合も比べています。たんぱく質は犬が18%、猫が26%、脂質は犬が5.5%、猫が9.0%です(水分を除いた重さに対する割合)。猫の食事は、犬よりもたんぱく質と脂質の割合が高くなっています。
猫に欠かせない「タウリン」
猫のごはんで、もうひとつ大事なのが「タウリン」です。タウリンは、体の中ではたらく成分のひとつで、魚介類や動物の内臓などに多く含まれています。
人や犬は、タウリンを体の中で作ることができます。しかし環境省のガイドラインによると、猫はタウリンを体内で十分に作ることができません。不足すると、目の病気(網膜の萎縮)や心臓の病気(拡張型心筋症)などにつながることがあるとされています。
そのため猫は、タウリンを食べ物からとる必要があります。特に手作りのごはんを中心にしている場合は、注意が必要です。
犬のごはんと猫のごはんは、それぞれ専用のものを
ここまでの違いを考えると、「犬と猫で同じごはんを分け合う」のは、あまりおすすめできません。
犬と猫では、必要なたんぱく質や脂質の割合が違います。猫には、タウリンも欠かせません。犬用のフードは、犬に合わせて作られています。毎日のごはんは、犬には犬用、猫には猫用を選ぶのが基本です。
一緒に暮らしている場合は、お互いのお皿を食べてしまわないように、食べる場所や時間を分けるなどの工夫も役立ちます。
環境省のガイドラインでは、毎日の主食には「総合栄養食」を選ぶようすすめています。総合栄養食とは、毎日の主な食事として、新鮮な水と一緒に与えることで健康を保てるように栄養のバランスを整えたフードのことです。パッケージに書かれている表示と、与える量の目安を参考にしてください。
食べ方も違う。犬は「一度にたくさん」、猫は「少しずつ何度も」
食べ方の習性も、犬と猫で違います。環境省のガイドラインでは、それぞれに合った与え方をすすめています。

犬:1日分を何回かに分ける
犬は、1回で1日分のフードを食べられるほど大きな胃を持っています。そのため、目の前にあるフードを、おなかいっぱいになるまで食べてしまう習性があります。
1日1回だけにすると、慌てて飲み込んでのどに詰まらせたり、肥満の原因になったりすることがあります。1日分を数回に分けて与えるようにしましょう。
猫:少しずつ、何度も食べられるように
猫は、昼も夜も関係なく、少しずつ何度も食べる習性があります。
1日分を2〜3回に分けて与えるか、ドライフードを置いておき、いつでも食べられるようにする方法がすすめられています。置いておく場合は、器を清潔にし、フードも定期的に取りかえましょう。水分の多いウェットフードや手作りのごはんは傷みやすいので、食べ残しはすぐに片付けてください。

飲み水は、いつでも新鮮なものを
環境省のガイドラインによると、水は犬や猫の体の60〜80%を占めます。体に必要な水分のほとんど(90〜95%)は、飲み水とフードからとっています。
特にドライフードは水分が少ないので、必ず新鮮な水をそばに置いておきましょう。猫には、飲み水を何か所かに置くのがおすすめとされています。
犬にも猫にも、与えてはいけないもの
人には問題のない食べ物でも、犬や猫には害になるものがあります。環境省のガイドラインで「与えてはいけないもの」とされているのは、次のようなものです。
| 食べ物 | ガイドラインでの説明 |
|---|---|
| タマネギ・ネギ・ニラ・ニンニク | 赤血球をこわす成分を含む。加熱しても分解されず、ハンバーグなどの加工品や、煮汁・エキスにも注意 |
| チョコレート | 嘔吐・下痢・けいれんなどを起こすことがある |
| キシリトール入りのガムなど | 犬は少量でも、血糖値の低下や嘔吐などを起こすことがある |
| 鶏の骨 | 縦にさけてとがり、のどや消化管を傷つけることがある |
| 生の魚介類(イカ・タコ・エビ・カニなど) | 猫ではビタミンB1が不足し、体の不調につながることがある。必ず加熱する |
| ブドウ・干しブドウ | 腎不全の原因になる。特にブドウの皮は与えない |
このほか、レバー(与えすぎ)、ホウレン草、コーヒーやお茶、生肉、香辛料、生の卵白、にぼしや海苔なども「注意が必要なもの」として挙げられています。
また、人のおかずやハムなどは、犬や猫にとって塩分が多すぎることがあります。チーズなどを与えるときは、犬猫専用のものを選びましょう。
もし誤って食べてしまったときや、いつもと様子が違うときは、自己判断せず、すぐにかかりつけの動物病院に相談してください。
よくある疑問
Q. 猫が犬のフードを少し食べてしまいました。大丈夫ですか?
犬用のフードは犬に合わせて作られていて、猫に必要な栄養の割合とは違います。気をつけたいのは、それが毎日続くことです。お皿を分ける、食べる場所を分けるなど、続かないように工夫しましょう。様子がおかしいときは、獣医師にご相談ください。
Q. 犬は雑食なら、人と同じごはんでもいいですか?
おすすめできません。犬も人よりたんぱく質を多く必要とします。人の食事は犬にとって塩分が多いことがあり、タマネギなどの与えてはいけない食材が入っていることもあります。犬には犬用のごはんを基本にしてください。
Q. 猫に野菜や果物を食べさせてもいいですか?
基本は、猫用のフードを選んでください。猫は食物繊維をうまく利用できず、果糖を分解する酵素も持っていないとされています。また、ブドウや干しブドウのように、与えてはいけない果物もあります(上の表を参照)。何かを加えたいときは、与えてよいものかどうか、量はどのくらいがよいかを、かかりつけの獣医師に相談すると安心です。
まとめ:同じペットでも、ごはんの考え方は別々に
この記事の要点は、次の3つです。
- 犬は雑食、猫は肉食。犬はデンプンを消化しやすい体に変わってきた一方、猫は消化管が短く、肉の消化が得意なつくりのままです
- 必要な栄養の割合が違う。同じカロリーの食事なら、猫は犬よりも多くのたんぱく質が必要で、タウリンも食べ物からとる必要があります
- 食べ方も違う。犬は1日分を数回に分けて、猫は少しずつ何度も食べられるように。水はいつでも新鮮なものを
今日からできることは、おうちの子のフードのパッケージを見て、「犬用(猫用)」「総合栄養食」と書かれているか、与える量の目安はどのくらいかを、一度確かめてみることです。
関連する記事も、あわせてご覧ください。
愛犬・愛猫のごはんに、ケストースをほんの少し
ここまでの内容は、犬と猫の体のつくりや食事についての一般的な情報です。ケストースの働きを示すものではありません。
中屋商店のケストースは、オリゴ糖の一種「ケストース」を100%配合した食品です。3糖で構成される、最小単位のオリゴ糖で、ほのかな甘みがあります(3g×30包入り)。
この記事で紹介した資料には、犬や猫にケストースを与えた場合のことは書かれていません。ペットに取り入れる場合は、ふだんのフードにごく少量を振りかけるところから始め、様子を見ながらにしてください。体質によっては、お腹がゆるくなることがあります。そのときは与えるのをやめて、獣医師にご相談ください。持病のある子や体調に不安のある子は、先にかかりつけの獣医師にご相談ください。
価格などの詳細は、商品ページをご確認ください。
本コラムは食品としての一般的な情報提供を目的としたものであり、病気の治療や予防を目的とした内容ではありません。持病がある子や体調に不安がある場合は、まずかかりつけの獣医師にご相談のうえで取り入れてください。
参考にした情報
- 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」(2018年改訂)https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808.html
- 一般社団法人ペットフード協会「ペットフード販売士」テキスト(見本)猫の消化器官 https://petfood.or.jp/assets/kentei_assets/pdf/sampletxt_02.pdf
- Axelsson E, et al. The genomic signature of dog domestication reveals adaptation to a starch-rich diet. Nature 495:360–364(2013)https://www.nature.com/articles/nature11837